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大阪地方裁判所 平成9年(ワ)7330号 判決 1998年10月01日

原告

古川千枝子

被告

中川優

主文

一  被告は、原告に対し、金三一四万〇二二三円及びこれに対する平成八年四月八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを四分し、その一を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。

四  この判決は、第一項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

被告は、原告に対し、金一二一五万四七三三円及びこれに対する平成八年四月八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、足踏自転車を運転していた原告が、足踏自転車を運転していた被告に衝突され、傷害を負ったと主張して、被告に対し、民法七〇九条に基づき、損害賠償を請求している事案である。

一  争いのない事実等(証拠により認定する場合には証拠を示す。)

1  本件事故の発生

(一) 発生日時 平成八年四月八日午後六時四〇分ころ

(二) 発生場所 大阪市東住吉区中野一丁目一四番二二号先路上(以下、「本件事故現場」という。)

(三) 加害者 足踏自転車(以下、「被告自転車」という。)を運転中の被告

(四) 被害者 足踏自転車(以下、「原告自転車」という。)を運転中の原告

2  本件事故現場の概況(甲一七の1、2、乙一、検乙一による)

(一) 本件事故現場の概況は別紙交通事故現場の概況(三)現場見取図(以下、「別紙図面」という。)記載のとおりである。現場は、南北にのびる歩車道の区別のない道路(幅員約六・二メートル。以下、「南北道路」という。)と、これとほぼ直角に交わる東西に延びる歩車道の区別のある道路(歩道の部分を除く幅員約四・一メートル。東向き一方通行。以下、「東西道路」という。)とによって形成されている、信号機による交通整理の行われていない交差点(以下、「本件交差点」という。)であり、東西道路の北側には、本件交差点から東にむかって、南から順に、幅員約一・五メートルの植え込み、幅員約二・四メートルの自転車道(以下、「本件自転車道」という。)、幅員約五・五メートルの植え込み、幅員約三・二メートルの歩道(以下、「本件歩道」という。)がのびており、また、本件交差点から西にむかって、南から順に幅員約一・五メートルの自転車道、幅員約二・四メートルの歩道がのび、さらにその北は公園となっている。また、南北道路は、本件交差点に向かって緩い登り勾配となっている。

(二) 南北道路には、一時停止規制があり、本件交差点北側の路面には、「とまれ」との一時停止の表示があり、本件自転車道の西北端付近に右一時停止の停止線がある。また、本件歩道の北側は文化住宅になっている。

3  原告は、本件事故により左膝脛骨平原骨折の傷害を負った(甲二、三)。

4  治療経過

(一) 平成八年四月八日から同年六月二二日まで医療法人橘会東住吉森本病院(以下「森本病院」という。)に入院(甲二、三)。

(二) 平成八年六月二三日から平成九年三月二八日まで(実通院日数四六日)森本病院に通院(甲二、三)。

二  争点

1  事故態様・責任原因

(原告の主張)

原告は、南北道路を北から南に向けてゆっくりと原告自転車を運転して本件交差点付近に至った。そして、南北道路の路面にある一時停止の表示「とまれ」の「ま」の字の頭(南側)付近で、いきなり左後方から被告自転車が原告の左足付近に衝突してきた。被告は、本件歩道を東から西に向かって進行してきたものと思われる。

右のような事故状況からすれば、被告には、前方進路を注視し、他の歩行者、自転車運転者等との衝突事故を起こさないようにすべき注意義務があったにもかかわらず、これを怠ったために本件事故が発生したものであって、被告には、本件事故により原告に発生した損害につき、民法七〇九条に基づく損害賠償責任がある。

(被告の主張)

被告は、本件自転車道のほぼ中央を東から西に向かって進行し、本件交差点に至り、本件交差点に引かれた一時停止の停止線から約一メートル南あたりを停止線に平行して本件交差点内を進行していた。一方原告は、本件交差点を北から南へ横断するため南北道路を通って本件交差点に進入した。原告は、一時停止の停止線で一時停止せず、減速することなく、右交差点に進入し、さらに原告は東西道路の西方向の東行き車線に目を奪われ、被告の進行してくる東方向の確認を怠っていた。そのため、原告は、南北道路の西端から二メートル、一時停止線から南へ約一メートルの地点で、被告自転車の後輪泥除け付近に、原告自転車の前輪を衝突させ、原告自転車もろとも転倒した。

右のような事故状況からすれば、原告には、本件交差点に進入するに当たり、一時停止線で一時停止をし、かつ、前方左右を注視して安全を確認すべき注意義務があったのにもかかわらず、原告が右注意義務を怠ったために本件事故が発生したのであって、本件事故は、原告の一方的な過失によるものであるから、被告には何らの過失はない。

2  原告の損害額

(原告の主張)

(一) 治療費 四九万二三五〇円

森本病院入通院分として四八万一七一〇円、薬代として一万〇六四〇円をそれぞれ支払った。

(二) 通院交通費 六万七二〇〇円

森本病院に通院するため、六万七二〇〇円支払った。

(三) 入院雑費 九万八八〇〇円

入院雑費としては一日一三〇〇円が相当である。

(計算式)1,300×76=98,800

(四) 装具費 一七万六三九〇円

(1) 車椅子レンタル 二〇〇〇円

(2) 装具 六万八二五六円

(3) ソファーベッド 六万九〇一〇円

(4) ステッキ二本 八〇〇〇円

(5) 手押車 一万一一二四円

(6) 風呂トイレ改造 一万八〇〇〇円

(五) 文書料 五三八〇円

(六) 休業損害 一九九万一五八〇円

原告は、主婦業の傍ら有限会社門脇紙器工業所(以下、「門脇紙器工業所」という。)に包装工として就労しており、日額三三四八円の給与を得ていたが、本件事故により、本件事故日から、平成八年九月二二日までの一六八日間は完全に休業せざるを得ず、同年九月二三日から症状固定時である平成九年三月二八日までの一八七日間は門脇紙器工業所に出勤することができなかった。平成七年賃金センサス産業計・企業規模計・学歴計・女子労働者(六〇歳から六四歳まで)の平均年収額二九六万六九〇〇円(日額八一二八円)及び門脇紙器工業所の収入日額を基礎として、右期間の休業損害を計算すると、一九九万一五八〇円となる。

(計算式)

(1) 8128×168=1,365,504

(2) 3348×187=626,076

(3) (1)+(2)=19,911,580

(七) 後遺障害逸失利益 三〇二万三〇三三円

原告は症状固定当時六三歳であり、原告の後遺障害は、等級表一二級一〇号に該当するから、原告はその労働能力を七二歳までの一〇年間にわたり一四パーセント喪失した。したがって、原告の後遺障害による逸失利益は、平成七年賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計・女子労働者(六〇歳から六四歳まで)の平均年収額二九六万六九〇〇円を基礎として、新ホフマン方式により右一〇年間の中間利息を控除して算出した標記金額となる。

(計算式)2,966,900×0.14×7.278=3,023,033(円未満切り捨て)

(八) 慰謝料 合計五三〇万円

(1) 入通院慰謝料 三〇〇万円

(2) 後遺障害慰謝料 二三〇万円

(九) 弁護士費用 一〇〇万円

第三当裁判所の判断

一  争点1(事故態様・責任原因)について

1  本件事故態様

(一) 前記争いのない事実等(第二、一の1ないし3)、証拠(甲一七の1、2、甲一八[後記信用しない部分を除く]、乙一、五、六、七の1ないし7、検乙一、原告本人[後記信用しない部分を除く]、被告本人[一部])及び弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実を認めることができる。

(1) 原告は、南北道路を北から南に向けて原告自転車を運転して、本件交差点付近に至り、一方、被告は、勤めを終えて帰宅するべく、本件自転車道の中央付近を東から西に向けて被告自転車を運転し、本件交差点付近に至った。

なお、本件自転車道の北側にある本件歩道は、文化住宅に面していて、人の往来が多く、かつ、平素本件歩道上には右文化住宅の住民がマイカーや自転車を多数路上駐車させており、自転車での通行には不向きであるため、被告は、朝夕の通勤にもっぱら本件自転車道を利用している。

(2) 被告は、本件自転車道を本件交差点に向けて進行中、本件自転車道の西端が本件交差点と接する別紙図面の<1>の付近で、約二・二メートル斜め前方の南北道路路面の一時停止線付近に南北道路を南進してくる原告自転車を初めて認め、急ブレーキをかけたが間に合わず、一時停止線から約一・六メートル南側の別紙図面<×>付近で、原告自転車と被告自転車とが出会い頭衝突し、原告をその場に転倒させた。なお、被告は、本件事故から約一時間一〇分後に実施された東住吉警察署の警察官による実況見分に立会し、右警察官に対し、本件事故の発生状況について右と同様の指示説明を行っている。

(3) 一方原告は、本件交差点を渡りきるため、東行き一方通行である東西道路の西側から車が来ていないかどうかに気をとられ、右前方だけを見て、左前方の注視を全く欠いた状態で、かつ、一時停止線で停止することなく本件交差点内に進入した。そのため、原告は、左前方の本件自転車道から本件交差店内に進入しようとしている被告自転車に全く気づかず、前記(2)のとおり、停止線から約一・六メートル南側付近で、被告自転車と出会い頭衝突をした。

なお、原告は、衝突まで被告自転車を全く見ていなかった。

(二) ところで、原告は、原告自転車が南北道路を南進し、本件交差点北側の路面に表示された一時停止の「とまれ」の「ま」の字付近に来たときに、急に左後方から被告自転車が衝突してきた旨主張し、原告も原告本人尋問でこれに沿う供述をし、甲一八にも同趣旨の記載があるところ、原告の右供述の要旨は、「南北道路を南進して、路面の「とまれ」の「ま」の字付近で急に左足にものが当たってきた。その瞬間激痛が走ったが、倒れることなく、ハンドルを持ったまま右足を地面につき、左足を、右の方に持っていき、その後ハンドルを離して、尻餅をつくような格好になった。被告は、衝突後、原告の前をそのまま走り去った。また、南北道路の一時停止線で止まるつもりであった。」というのである。

しかしながら、まず、(1)原告自転車の真横に当たってきた被告自転車がそのまま原告自転車の前を通り過ぎていくということは不自然であるし、(2)仮に原告が主張するように、被告自転車が原告自転車の左後方から進行してきて、原告の左足に衝突したというのであれば、被告自転車は本件歩道を東から西にむかって進行して南北道路に至り、次いで南北道路を原告自転車に追従して進行していたという経路をたどっていたことになるが、前記(一)で認定の本件歩道の状況に照らすと、被告が朝夕の通勤にはもっぱら本件自転車道を利用し、本件歩道は利用しない旨の被告本人の供述には合理性があり、そうだとすると、原告自転車が、本件自転車道を通行していた被告自転車と原告主張の位置、態様で衝突することはあり得ないことに帰着し、(3)さらに、被告自転車が原告主張の経路で進行してきたとするならば、被告としては先行する原告自転車の存在に当然気がつく筈であり、被告自転車が左後方から原告自転車に衝突したというのも不自然かつ不合理というほかなく、以上の諸点に徴する限り、原告本人の前記供述及び甲一八の記載内容はいずれもたやすく信用することができず、他に前記原告の主張事実を認定しうる的確な証拠はない。

なお、原告は、事故態様の根拠として、原告負傷の部位・内容が原告主張の事故態様に合致する旨の主張をするが、前記(一)で認定の事故態様によっても原告に左膝の骨折が生じることは十分にあり得ると考えられるから、原告負傷の部位・内容は前記(一)の認定の妨げとはならない。

一方、被告は、被告本人尋問において、本件事故の態様につき、実況見分時における指示説明と異なる供述をするが、乙一の実況見分調書が司法警察員がその職務上作成する文書であることに鑑みると、被告本人の右供述はにわかに信用することができない。他に、前記(一)の認定を左右するに足りる証拠はない。

2  責任原因・過失相殺

前記1の認定説示に基づけば、本件事故は、原告が左前方の注視を欠き、かつ、一時停止線で停止することなく本件交差点に進入したことによって発生したものであって、その責任の大半は原告側にあるというべきであるが、被告としても、原告自転車の動静に注意し、速度や進路を調整することにより本件事故を十分に避けることが期待されていたというべきであって、右のような事情を考慮すれば、本件事故の過失割合については、原告七に対して被告三とするのが相当である。

二  争点二(原告の損害額)について

1  治療費 四九万二三五〇円

前記争いのない事実等、証拠(甲三、六の1ないし54、七の1ないし12、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、森本病院入通院費として合計四八万三五六〇円支出したこと、薬代として一万〇六四〇円を支払ったことがそれぞれ認められる。右費用のうち症状固定後(症状固定日は平成九年三月二八日)の治療費である一六七〇円(平成九年四月二五日分)を除く(甲六の54)四九万二五三〇円については、本件事故と相当因果関係を有するものと認められるから、原告主張の四九万二三五〇円については、本件事故と相当因果関係を有するものと認められる(原告主張のとおり)。

2  通院交通費 六万二四〇〇円

前記争いのない事実等、証拠(甲三、一四の1ないし80、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、平成八年六月二三日から平成九年三月二八日までのうち四六日間森本病院に通院したこと、右通院のうち四〇日間について、タクシーを利用したこと、及び右タクシー代として合計六万二四〇〇円を支出したことが認められ、右支出は本件事故と相当因果関係を有するものと認められる(原告主張額六万七二〇〇円)。

3  入院雑費 九万八八〇〇円

入院期間七六日にわたり、一日当たり一三〇〇円をもって相当と認める(原告主張のとおり)。

4  装具費 一五万八三九〇円

証拠(甲八、九の1、2、一〇、一一の1、2、一二、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、車椅子をレンタルしたこと、左下肢装具、ソファーベッド、ステッキ二本及び手押し車を購入したこと、これらの費用として合計一五万八三九〇円を支払ったことが認められる。後記認定の原告の症状の内容、程度に照らすと、これらの装具が必要と認められるから、右支出は本件事故と相当因果関係があるものと認められる。しかし、原告の主張する風呂トイレ改造代一万八〇〇〇円については、本件の全証拠によっても、風呂やトイレを改造した事実及びそのために原告が支出した事実を認めることはできないから、これを損害として認めることはできない(原告主張額一七万六三九〇円)。

5  文書料 四一八〇円

証拠(甲一三の1ないし3)によれば、原告は、森本病院の入院証明書代金として一〇三〇円、診断書二通の代金として三一五〇円を支払ったことが認められ、右各支出は、本件事故と相当因果関係を有するものと認められる(原告主張額五三八〇円)。

6  休業損害 一七七万八二五八円

(一) 前記争いのない事実等、証拠(甲二、三、一五の1、2、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告は本件事故により左膝脛骨平原骨折の傷害を負ったこと、右受傷により平成八年四月八日から同年六月二二日まで合計七六日間森本病院に入院したこと、同月二三日から平成九年三月二八日まで合計二七九日間(実通院日数四六日)同病院に通院したこと、入院中も、平成八年六月二〇日ころには左膝のしびれがあるものの左膝の痛みはなくなってきていること、入院後は日常生活動作は何とかできるようになってきており、治療も理学療法が中心の保存的療法になっていること、原告は、平成九年三月二八日に症状固定したことがそれぞれ認められる。

そして、前記認定の原告の症状に照らすならば、原告は、概ね、入院期間である平成八年四月八日から同年六月二二日までの七六日間は完全に休業せざるを得ない状態であり、平成八年六月二二日から症状固定日である平成九年三月二八日までの二七九日間は完全な休業が必要であったとは認められず、五〇パーセントの労働能力が制限される状態であったと認めるのが相当である。

(二) また、証拠(甲四、五、一八)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、本件事故当時六二歳であり、主婦業の傍ら有限会社門脇紙器工業所に包装工として就労しており、日額三三四八円の収入を得ていたことが認められる。そこで、平成八年の賃金センサス・産業計・企業規模計・学歴計・女子労働者(六〇歳から六四歳まで)の平均年収は三〇一万一九〇〇円であるから(当裁判所に顕著)、右年収を基礎として本件事故日から症状固定までの三五五日間の休業損害を計算すると、次の計算式のとおり一七七万八二五八円となる(原告主張額一九九万一五八〇円)。

(計算式)

3,011,900÷365×76+3,011,900÷365×0.5×279=1,778,258(円未満切り捨て)

7  後遺障害逸失利益 三〇二万三〇三三円

証拠(甲三、一八ないし二二、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、平成九年三月二八日に症状固定し、自覚症状としては歩行時の左膝痛、正座不能等があり、他覚所見としては左膝の可動域制限(伸展 自動左マイナス一〇度、自動右〇度、他動左マイナス五度、他動右〇度 屈曲 自動左一一〇度、自動右一二五度、他動左一一五度、他動右一二五度)と左膝に約一三・五センチメートルの手術創とがあること、原告は、布団の上げ下ろしやトイレが不自由であり、歩行の際には杖が必要なこと、原告の骨折はいわゆる高原骨折に分類され、完全な整復は困難なことが多く、疼痛、拘縮などを残し、のちに二次的変形性関節症による機能の悪化を来しやすいこと、症状固定の診断をした森本病院の岸田宗久医師も原告の症状については不変の見込みと診断していること、以上の事実が認められる。

右事実に、前記6で認定した事実も考慮すれば、原告は本件事故のため、平成九年三月二八日、等級表一二級一二号に該当する後遺障害を残して症状固定し、右症状固定時、原告は六三歳であったことが認められるから、症状固定後七二歳までの一〇年間にわたり労働能力を一四パーセント喪失したものと認められる。

そこで、平成八年の賃金センサス・産業計・企業規模計・学歴計・女子労働者(六〇歳から六四歳まで)の平均年収は三〇一万一九〇〇円を基礎として六三歳から七二歳までの一〇年間の中間利息を新ホフマン方式によって控除すると、次の計算式のとおり三〇六万八八八五円となり、原告主張の三〇二万三〇三三円以上の逸失利益があることは明らかである。

(計算式)

3,011,900×0.14×7.278=3,068,885(円未満切り捨て)

8  入通院慰謝料 一五五万円

原告の傷害の内容、程度、入通院の期間、治療の内容等本件弁論に現われた一切の事情を考慮して右金額をもって相当と認める(原告主張額三〇〇万円)。

9  後遺障害慰謝料 二三〇万円

原告の後遺障害の内容、程度等本件弁論に現われた一切の事情を考慮して右金額をもって相当と認める(原告主張のとおり)。

10  過失相殺後の損害額

以上を合計すると九四六万七四一一円となり、右金額に過失相殺の七割を減ずると二八四万〇二二三円(円未満切り捨て)となる。

11  弁護士費用 三〇万円

本件の審理経過、認容額等に照らし、被告に負担させるべき弁護士費用としては三〇万円をもって相当と認める(原告主張額一〇〇万円)。

四  結論

以上のとおり、原告の請求は、被告に対して金三一四万〇二二三円及びこれに対する事故日である平成八年四月八日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるので、主文のとおり判決する。

(裁判官 三浦潤 齋藤清文 三村憲吾)

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